照明についての考察 | ||
お金持ちの巨大な水槽でも、せいぜいHQIランプとかハロゲンランプがせいぜいで、普通の小型水槽だとがんばってもインバータ蛍光灯どまり、という時代から水槽をやってる僕としては、照明器具が山のように市場に溢れている現在は夢のようだと感じる。 リー・チン・イン博士がナチュラルシステムを提唱した時代から、照明は水槽飼育の一大事だった。 リー博士は無限の太陽光を利用することができたが、普通の場合それは困難で、15年前の僕は20Wの蛍光灯を16本とかいう冗談みたいなことを本気でやっていたにもかかわらず、サンゴを飼育するに足る十分な光を得ることはおろか、光の具合を変えてさまざまな水景を楽しむなんてことはどうしようもなく難しいことだったのだ。 |
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蛍光灯中心時代の一苦労 | ||
この水槽が問題の320W蛍光灯水槽である。 LPSとかソフトコーラルしか入ってないので、まあどうにか飼えているが、水槽の上部は完全に照明器具で覆われていて、それが発する熱との戦いが一苦労であった。 で、そこまでやっても結局LPSは給餌しないと持たなかったし、まるで水族館の水槽のように、なんとなく漠然とした光で薄暗い印象がある。いや、それは『今見ると』という意味だ。当時は部屋中の照明を消してもまだ明るいので、部屋の照明をつける習慣がなかった。 また、蛍光灯の拡散光線は、水景自体をなんとなく平板なものに見せているような気がする。 |
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このころから光温度数(ケルビン)というのが話題になりだした。ケルビン数が低いと水槽全体が黄色っぽく見えるが、ケルビン数の高い光線を入れると海っぽくなるぞ、などと言われて、当時もいろいろな蛍光灯が発売されていたので、試行錯誤した憶えがある。 | ||
しかし青みの強い光を使うと、ワット数の割りに暗い、という難点があった。逆に光量を求めると、いわゆる「白昼光」というやつで(パルックなどが有名)黄色みの強い光になってしまう。 これがなかなか痛し痒しで、思うような水景を作ることができず、いまひとつだった。 |
ちなみにこの水槽は、パルックを中心に20Wと10Wの蛍光灯が4本づつの計8本の蛍光灯で運用されている。 |
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メタハラ中心に頑張ってる現在 | ||
さて現在は、メタルハライドランプを中心に、さまざまな照明器具が比較的手に入りやすく、コンパクトになっているのでいろいろなチャレンジが可能だ。しかもブルーひとつとっても、ディープブルーやマリンブルーといった青みの異なるランプがたくさんあって、その上にやれピンクだネオンだと赤っぽい光の製品もあって、いろいろと工夫するのに事欠かない。そこでOFFICEの小型水槽2つを、それぞれ浅い海、やや深い海をぞれぞれイメージして作ってみた。 とはいえ無制限に予算があるわけでもないので、出費の痛さがほどほど(とはいえかなりコストがかかることも事実だが)でできる、マイベストを追求している。 |
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■中央 エムズワン MT-250S コーラルグロウ ■右 ランプネットワーク スーパークール115 マリンブルー(集光) ■左 ランプネットワーク スーパークール70 ピンク球 (集光) |
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■SPS水槽■ だいたい水深2m以内くらいの浅い海をイメージした水槽。 レイアウトの中心はミドリイシなどのSPSなので、光が十分にいきわたらないとそもそも飼育が難しく、色落ちもしやすい。全体的な明るさを得るためにコーラルグロウを中心に据えて、サンゴの色揚げを意識して、カラフルのサンゴをスーパークールで照射している。左サイドにチヂミトサカがいるので、その周辺はピンク球で照射している。以前はNZ RB-37を使っていたが、暗くて意味がなかった。SC70も暗いので定評があるが、さすがに負けてしまうということはない。色味も気に入っているので、これを採用。 |
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■中央 アクアデザインアマノ SOLAR-1 ■右-1 ランプネットワーク スーパークールX ディープブルーフィルター付き ■右-2 メーカー名不明 ムーンライト(夜間専用) |
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■DeepMarine水槽■ |
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照明は海の生物を生かすために大変重要であるばかりか、肝心の『鑑賞』という意味でもとても大事だと痛感する。 できるものなら複数の照明を使っていろいろな角度から当てたほうが影が少なくなっていいし、サンゴの色落ちを防ぐこともできる。また実は「底砂からの反射光」というのも重要な役割を持っている。最近はパウダー底砂が多いが、パウダーに強い光を当てると反射して、サンゴの下面を照射してくれるので、これまた色落ち防止にはとても重要だ。 水槽飼育は、ある意味光のアートなのかもしれない。 |